OTとITの違い
こんにちは、こじろうです。
最近、仕事でOTとITという言葉を使う機会が増えました。
ただ、この話をすると結構な確率で混乱します。
IT業界の人は、
「OTってPLCとか制御システムですよね」
という反応。
一方、工場やプラントの人は、
「ITってOfficeとかメールのことでしょ?」
という反応。
どちらも間違っていません。
でも、それだけではありません。
そして製造業DXが難しい理由のかなりの部分は、
このOTとITの違いにあると思っています。
今日は、
OTとITの違い
について書いてみようと思います。
- OTとITの違い
- なぜOTとITは衝突するのか
- DXで本当に重要なこと
OTとITの違い
結論:守るものが違う
いきなり結論です。
OTとITの違いは、
守るものが違う
です。
ITは情報を守る。
OTは生産を守る。
まずここを理解すると話が早いです。
ITの世界
まずITです。
皆さんがイメージするITで大体合っています。
メール。
ERP。
会計システム。
CRM。
クラウド。
ネットワーク。
サーバー。
こういう世界です。
IT部門が最も気にするのは、
情報の正確性
です。
データが消えてはいけない。
漏れてはいけない。
改ざんされてはいけない。
最近だとサイバーセキュリティも重要ですね。
そのため、
システム停止も計画的に行います。
休日の夜中にメンテナンス。
サーバー更新。
セキュリティパッチ適用。
ITの世界では普通です。
OTの世界
一方でOT。
Operational Technology。
運転技術とか制御技術とか呼ばれる世界です。
DCS。
PLC。
SCADA。
センサー。
バルブ。
モーター。
現場機器。
こういうものが対象になります。
そしてOTの世界で最も重要なのは、
設備を止めないこと
です。
極端な話、
工場が止まれば何億円もの損失が発生します。
製油所ならなおさら。
発電所も同じ。
化学プラントも同じ。
だからOTの世界では、
止まるくらいなら古いシステムを使い続ける
という判断も普通にあります。
ITの常識はOTの非常識
ここが面白いところです。
ITの人は言います。
「脆弱性対応してください」
「OS更新しましょう」
「最新版にしましょう」
正しい。
完全に正しい。
でもOT側からすると、
「設備止まるんだけど?」
になります。
これも正しい。
実際にある話です。
ITから見ると、
なぜ更新しないのか分からない。
OTから見ると、
なぜ止めろと言うのか分からない。
両方正しい。
だから衝突します。
OTは物理法則から逃げられない
もう一つ大きな違いがあります。
OTは物理世界を相手にしています。
例えば製油所。
温度。
圧力。
流量。
液面。
振動。
こういったものを扱います。
ここで制御を失敗すると、
利益が減るだけではありません。
事故になります。
設備が壊れます。
最悪、人命に関わります。
だからOTの世界では、
確実性
が最優先です。
最新技術よりも、
安定稼働。
これが重要になります。
ITは変化を歓迎する
一方、IT業界は比較的変化を歓迎します。
クラウドへ移行。
新しいERP。
生成AI導入。
新しい開発手法。
新しいツール。
数年前に正解だったものが、
今では古いということも珍しくありません。
むしろ変化しないことがリスクになります。
ここがOTとの大きな違いです。
OTは安定性を重視する。
ITは変化を重視する。
だから会話が噛み合わないんです。
DXが難しい理由
最近はITとOTをつなげようという話が増えています。
当然ですよね。
設備データを活用したい。
AIを使いたい。
予兆保全をやりたい。
経営と現場をつなぎたい。
そこにはOTデータが必要です。
でも実際に始めると難しい。
なぜなら、
OTとITは見ている世界が違うから。
ITはデータを欲しい。
OTは安定運転を守りたい。
どちらも正しい。
だから技術だけでは解決しない。
本当の違いは技術ではない
色々書きましたが、
実は最近少し考えが変わりました。
OTとITの違いは技術ではない。
価値観です。
OTの人は生産を守ろうとしている。
ITの人は情報を守ろうとしている。
どちらも会社に必要です。
問題は、
お互いが守ろうとしているものを知らないこと。
ここなんですよね。
相手を理解せずに話すと、
「ITは現場を知らない」
になります。
逆も同じです。
「OTは時代遅れ」
になります。
でも実際はそんな単純な話ではありません。
僕の現在
僕は電力業界にいて、
その後ITコンサルに行き、
今はOT寄りの仕事をしています。
だから両方の言い分が少し分かります。
IT部門が言いたいことも分かる。
現場の運転員が言いたいことも分かる。
そして最近思うのは、
本当に価値があるのは、
OTの専門家でも、
ITの専門家でもなく、
両方をつなげられる人
なのではないかということです。
製造業DXが難しいのも、
実は技術不足ではありません。
OTとITの間にある意思決定の壁。
そこを越える人が少ない。
その結果としてDXが進まない。
だから僕は最近、
DXとはシステムの話ではなく、
翻訳の仕事なんじゃないかと思っています。
技術を翻訳する。
現場を翻訳する。
経営を翻訳する。
そして意思決定を前に進める。
それがOTとITをつなぐ人の役割なのだと思います。
それでは、Thcau◎
こじろう