こんにちは、こじろうです。
えー、このブログは文系SEの皆様向けなのですが、今回はバリバリ理系な感じの記事になってしまいそうです。。
データを送信するときに、いくつか方法があって、それらを勉強していたら「これは是非、Bom dia!!の読者の皆様にもお伝えしたい!!」と考えたため、書かせて頂きます。
【この記事でわかること】
- 伝送方式とは何か?
- 具体的にはどんな仕組みなの?
- 伝送方式の知識ってどこで役立つの?
より速く、正確にデータをやり取りする手段
システムエンジニアは、システムがやり取りするデータ量に応じてデータの「伝送方式」を設定します。
なぜなら、システムユーザに不自由なくデータを確認・利用してもらうためです。
一般にデータの「伝送方式」は、3つの観点で設計します。
- 「性能」
- 「信頼性(故障しないで、何時でも使用できること)」
- 「コスト」
この内容はかつてデータ伝送に関するバイブルともいえる「マイクロコンピュータ・データ伝送の基礎と実際」(1984)を著者である宮崎誠一さんが運営されているWebサイト「連載Web講座 やさしい データ伝送基礎講座」にも記載されていますが、この中で「性能」にかんしては更に3つに分解して考えることができ、利用できる回線の本数、各回線の伝送速度、回線の混雑の程度)で判断できます。
例えば、「性能」に関して、1秒当たり10MB(メガバイト)を流す動画配信サイトを作ったのに、データを流す回線がその10分の一(1秒当たり1MB)しか流れない回線を設定してしまうと、その動画を見ようとした人は動画が何度もフリーズして、まともに動画を見ることはできないでしょう。
以前、ユニクロが感謝祭を開催し、バーゲンセールを実施した時に、想定以上のユーザがユニクロの販売サイトにアクセスしてしまい、サーバが処理不能・ダウンして一定時間利用できなくなる、ということがありました。これはまさに、データ伝送の設計・設定が甘かったために発生したと言えます。
これは、みなさんが会議で議事録を書いているときなどに似たようなことが起きていると思われます。
参加者の方が、メモしきれないようなスピードで話し始めたり、違うプロトコル(日本語じゃなくて英語で話したり…すると、メモできなくなりますよね。
システムでも同じことが起きるのです。
そのため、1秒当たりやり取りする情報量、やり取りする言語(システム設計上はプロトコルや伝送方式と言います)を決めて、それらを実現できるようなCPUやネットワーク回線を用意するのです。
いかにしてまとめて(重ねて)送るか。
「量に関しては確かに変動があるけど、方式については0と1の電気信号を送るだけなのだから、選択する余地なんてないんじゃないの?」という疑問が沸くかもしれません。
確かに、多くのシステムはやり取りするデータを0と1で表現する電気信号(デジタル信号)にしてやり取りしています。
しかし、それらのデータを送るときは一つ一つ順々に送るシリアル伝送(いわゆる直列)とか、一定の量で区切って、複数回線を利用して一気に送るパラレル伝送(並列伝送)など、より効率的に、失敗がないようにデータやり取りするための手段としていくつかの伝送方式が発明されています。
周波数分割多重化
データを送信するための伝送路を効率よく利用するための手っ取り速い方法は、複数の信号を同時に伝送する事(上記でいうところの並列伝送)です。これをデータ伝送の世界では「多重化」と言います。
アナログ信号の場合、信号の周波数をずらして配置する周波数分割多重化の手法がとられました。
一つの回線に複数の周波数を配置…テレビやラジオが代表的な例ですね。
※acworks@イラストACからの提供
一方、デジタル信号には”周波数”という概念が無いディジタル信号の場合、周波数分割多重化の手法は不可能でした。そこで、ディジタル信号を時間的に分割し、多重化していく方法が取られました。
参考:周波数の分割・多重化
トラブルシューティングで役に立つ
ITよりも電気機器メーカーの人が気にする内容ではあるが…
正直、ITの内容というよりは電気機器メーカーの方が勉強する内容かもしれません。
そのため、その辺の知識を積極的に学ぶ人は少ないでしょう。
それだけに、周りに差をつけるにはうってつけの分野ですし、トラブルが起きた時の原因究明で非常に役に立つ知識です。
僕もよく経験した話なのですが、システムが出来上がり、いざお客さんの業務現場に赴き、対象のサーバへソフトウェアインストール、したけど動かない。。データが連携されないetc…なぜだ!?
「できたって言ってたじゃないか!のうきおくれは許さんからな!」みたいに恫喝されて10分後くらいに、お客さん側の持ち物であるハードウェアの伝送方式設定が間違っていた…ってなことがしばしばあります。
強烈な営業向きスキルではありませんが、いざというとき自分の身を助けてくれる頼りになる知識です。
それでは、Tchau◎
こじろう
※冒頭の写真はumacoさんによる写真ACからの写真でした。